2014年3月10日月曜日

昨年、ドイツの新聞、ZEITに、ベルリン国際映画祭で上映された僕の作品『無言の乗客』について書かれた箇所がありましたので、友人のウルリケ・クラウトハイムさんに、日本語に翻訳してもらいました。


甲殻類に自由を!

大言壮語は短編映画のレパートリーに含まれない。それは昔も今も変わらないことだ(初期のアニメーションやどたばた喜劇映画は無声だった)。映像作家はまるで、言葉が画像を邪魔することを恐れているように見える。殆どの短編映画では、音声が画像を強調する役割しか果たしていない。甲殻類の映画のサウンドトラックも、ヤドカリががたがた立てる音からだけ成立する。仲本は上映後のトークで、それは、ヤドカリの特徴であると話していた。ヤドカリの自由を得ようとする努力を聞こえるようにするために、感度の非常によいマイクを使ったそうだ。

ヤドカリが逃走しようとするころを観察するのは、重苦しい。ところが、同時に楽しくもある。その観察はサディズムに近いかもしれない。そして間違いなく、盗撮のような行為だ。動物が撮影してくれるように頼んだはずはないからだ。仲本も短編映像作家がよく行うことを行っている。普段の見慣れた、型どおりのイメージを裏切る。この場合、彼は視聴者の馴染みの「人間的」次元を拒む。我々は普段、自分達しか見ない、自分達しか撮影しない。ホテルに持ち込まれたヤドカリたちはその視点を変える。




マイクに関しては、おそらく上映後のトークで僕の日本語をドイツ語に翻訳していた方が間違ったのだと思いますが、通常のマイクで撮影を行っています。ただ、繊細な音を録音するために、少しだけコツが必要です。

他にも『無言の乗客』について書いてある箇所を読むと、僕の作品はホラー映画として受け止められているようです。また、ゴジラを思い出したといったようなことも書かれています。

記事全体に関しては、『無言の乗客』の他に、ヂョン・ユミさんの『LOVE GAMES』や、川本直人さんの『UZUSHIO -Seto Current-』など、言葉の無いアジアの短編映画が、非常に説得力があったというようなことが書かれているようです。

0 件のコメント:

コメントを投稿