<20210419追記>
昨晩のヴィジョン・デュ・レールでのトークの記録が公開されました。僕と吉開菜央さんの話しているパートは日本語でご覧いただけます。まだまだ話し足りないことはたくさんありましたが、田村かのこさんの通訳のおかげでとても楽しいトークになりました。こうして顔を見ながら話をする機会をいただけたことを感謝したいです。
トーク概要:「真の発見の旅とは、新しい風景を探すことではなく、新しい目を持つことである」(マルセル・プルースト)。空間をどのように評価するか、風景をどのように撮影するかを決める哲学は数多ある。カメラはそれに意味や象徴、願望を乗せるための手段に過ぎない。
5組の作家はそれぞれ、ポルトガル、スイス、オーストラリア、中国、日本の5カ国で映画を製作しています。今回、トークのために他の監督の映画を先んじて観たのですが、改めて、映画を観ることは風景を観ることでもあるんだなと強く感じました。こうして5カ国の映画を並べてみると、全く別の視点が生まれてくるのを感じます。特に、ポルトガルの農村を撮影したモニカ・マルティンズさんの”Sortes”は人の営みと土地の結びつきを強く感じて、感動的でした。
それぞれの作家の翻訳した作品概要(ショートバージョン)とURLを載せていますので、公開されたらご覧になってみてください。
If You See Her, Say Hello | Hee Young, Pyun Oscar Zhang – 中国 18分
旅人は、中国北部の石油採掘場跡地にある、彼が「宇宙の中心」と考えていた幼少期の街を訪れる。思い出に取り憑かれた彼は、次第に夢のような空間に迷い込み、超近代的な都市から、現実と空想の区別がつかなくなったゴーストタウンへと変わっていく。稀有な美しさを持つハイブリッド映画。
https://www.visionsdureel.ch/en/film/2021/if-you-see-her-say-hello/
Là où nous sommes | Amélie Bargetzi – スイス 36分
製油所や化学工場が立ち並ぶ南仏の町フォス・シュル・メールでは、どのようにして生活することができるのか。カメラは彼らの悪夢のような風景を撮影し、その中から時に曖昧な美しさの断片を発掘する。
https://www.visionsdureel.ch/en/film/2021/la-ou-nous-sommes/
Dry Winter | Kyle Davis – オーストラリア 62分
オーストラリアの奥地にあるゴーストタウンに住む20代のジェイクとケリーは、アルバイトをしながら生活している。夜はテレビの前でビールを飲み、友人たちと過ごすことで、彼らの背後にある広大な空洞の死のような退屈さを補っている。しかし、日々は果てしなく繰り返され、どちらかが旅立つことを決めなければならない。
https://www.visionsdureel.ch/en/film/2021/dry-winter/
Sortes | Mónica Martins – ポルトガル、ドイツ 38分
収穫期の太陽とセミの鳴き声の下で、モニカ・マルティンス・ヌネスはポルトガル南部の乾燥地域であるセラ・デ・セルパの感動的なポートレートを描き出す。羊飼いや市場の商人が歌う詩は、忘れ去られようとしている人間の風景の最後のジェスチャーのように響く。
https://www.visionsdureel.ch/en/film/2021/sortes/
Night Snorkeling | Hirofumi Nakamoto, Nao Yoshigai - 日本 12分
夜になると、少年と少女は、自然の小さな不思議を観察するために、冷たい海に身を投じる。携帯電話のカメラを持って、海に生息する生命の神秘を明らかにする。のんびりとした雰囲気の中で、「ナイトシュノーケリング」は私たちの地球の儚い美しさを優しく思い出させてくれる。
https://www.visionsdureel.ch/en/film/2021/night-snorkeling/
吉開 菜央(よしがい なお)
映画作家・振付家・ダンサー。1987年山口県生まれ。日本女子体育大学舞踊学専攻卒業、東京藝術大学大学院映像研究科修了。作品は、国内外の映画祭での上映をはじめ、展覧会でもインスタレーション展示されている。MVの監督や、振付、出演も行う。監督した主な映画は『Grand Bouquet』(カンヌ国際映画祭監督週間2019正式招待)、『ほったまるびより』。米津玄師MV『Lemon』出演・振付。
https://naoyoshigai.com/
仲本 拡史 (なかもと ひろふみ)
映像作家。1986年8月19日、横浜生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。西イングランド大学に交換留学し、現代美術を学ぶ。監督した主な映画は『無言の乗客』(ベルリン映画祭/2013)、『IR PLANET』(ヴィジョン・デュ・レール/2014)、『宇宙の舟 2016』(イフラヴァ国際映画祭/2017)など。ホテルなどの人工的な空間に、カニやヤドカリなどの動物を持ち込み、動物と自己、カメラのの3者の関係を緊張感を持って描く「動物SF」シリーズは、各国の映画祭や芸術祭で上映、展示される。2014年から「ひかるどうぶつえん」の立ち上げと運営に関わる。2018年より神奈川県逗子市に居を移し、映像表現のレクチャー、ワークショップ、上映などの活動を行う団体「逗子アートフィルム」を立ち上げる。「螺旋の映像祭」ディレクター。関東学院大学非常勤講師。
http://www.hirofuminakamoto.com/
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